神戸元町商店街の本高砂屋で期間限定販売「きんつば 栗」

古く平安時代から、京都と下関を結ぶ西国街道と呼ばれる主要街道があり、江戸時代の末期、今の元町商店街のあたりは、東から神戸村、二つ茶屋村、走水(はしうど)村という三つの村があって、街道沿いには店が賑わい、やがて220戸が軒を連ねる商店街へと発展しました。

神戸市立中央図書館 貴重資料デジタルアーカイブス より
https://www.city.kobe.lg.jp/information/institution/institution/library/arc/index.html
「新改正摂津国名所旧跡細見大絵図」1836年(天保7年) 木版の一部画像を使用

1874年(明治7年)5月20日に商店街に面している街道を「元町通」と改称したのが、元町商店街の始まりとされています。
「きんつば」の本高砂屋は元町商店街の誕生後3年目の1877年(明治10年)に創業しています。
神戸猫のPochi(ポチ)とMontblanc(モンブラン)は、「きんつば」を買いに元町商店街へと向かいます。

元町商店街の東側の入口は元町1丁目。ステンドグラスのゲートがあってすぐ分かるね。
東の元町元町1丁目から西の元町6丁目まで約1.2㎞のアーケードを、雨の日にはウォーキングする人もいてはるで。
元町1番街は元町1丁目と2丁目の商店街をまとめた呼び名やけど、元町商店街の外灯は各丁の商店街ごとに街灯のデザインが違うんやね。
初めて「すずらん灯」を設置したのは1926年(大正15年)、京都の寺町通に完成したばかりの「すずらん灯」を参考に、アール・ヌーヴォー調で作られたんやで。
写真は、昭和に入ってからの写真で奥に大丸のビルが見えるね。
ヒョーゴアーカイブスより
その後、戦時中の金属供出で街灯は無くなるんやけど、戦後、小さくはなったけど、各商店街ごとに違うデザインで「すずらん灯」が復活したんやで。
そうなんや。これは元町3丁目の「すずらん灯」やね。
日曜日や休みの日は人出が多なって来たなぁ。

買いたいなと思ってる、きんつばの本高砂屋は3丁目にあって、入口が二つあるねん。左側の入口では、きんつばを焼いてて、中に入って買えるようになってるんやけど、きんつば以外の和菓子も置いてあるから、それも左側で買えるんやで。
右は洋菓子と喫茶の入口やねんけど、甘いもんで一服したいから、先に喫茶へ行ってええかな?ポチ。
大丈夫ですよ。僕も甘いもんが欲しいなと思ってたから。
そしたら、「抹茶」と「よもぎ大福」のセット(715円(税込))にするわ。体がぼんやりしてる時に、抹茶は助かるねん。
僕は「コーヒー」と「きなこのおはぎ」のセット(715円(税込))。ここのコーヒーは、甘いものによく合うしね。
ポチは一服するんやったら、スタバとかになるんやろ?
うん、そやね。
僕は、スタバはちょっと苦手やし、かと言うて照明を少し落としたような昭和の匂いプンプンの喫茶も、どうかなぁと思うので、僕にしたら、ここは普通の照明・普通のテーブル・普通の椅子で気が楽やねん。
伯父さん、そろそろ期間限定の「きんつば 栗」を買って帰らんと。ただ消費期限は明日やから、それだけは気い付けてな。
うん、わかった。
きんつばは、丸形の江戸きんつばを角形の六方焼きにして販売したんが1897年(明治30年)で、

刀の四角の鍔(つば)の模様は、焼き台に刻んであるんやね。

店頭で焼くきんつばがあるのは、ここの元町本店、三宮の神戸阪急店、大阪梅田の阪急三番街店だけで、一度神戸阪急店で、日持ちのする「元祖四角六方 薄皮髙砂金鐔(195円(税込))」を頼んだら、焼きたてではないのですが、良いですか?と言われたなぁ。
店の人が気を利かしたんやろな。やっぱり、焼きたてのしっとり感をそのまま、というのはむつかしいからな。
きんつばを買いに和菓子売り場へ行った時、神戸人形が置いてあったけど、伯父さんは神戸人形を知ってた?
いや、知らんかってん。
神戸人形というのは、からくり人形で、台のつまみを回すと、

人形がお酒を飲んだり、

西瓜を食べたり、きんつばを焼いたりするんやて。

神戸人形の作者にインタビューしているサンテレビ「KOBE LIFE」のYouTubeが分かりやすいよ。

そしたら、各丁の「すずらん灯」を見ながら、帰ろか。
これは元町4丁目。

元町5丁目。この形が最初の「すずらん灯」に近いね。

元町6丁目を表すアーチの6は普通に読めるけれど、商店街の名前の MOTOMACHI 6 は、他の商店街と違って6丁目商店街だけ裏文字になってるよ、何でやろ?
いや、反対側の街灯は普通に読めるで。
ということは、東から西へ来ると裏文字になってるけれど、西から東へは正の文字になってる、ということやね。
神戸は古くはこれより西の兵庫、繁華街の新開地などが中心やったから、こちらの6丁目側が「正門」と考えたんやろか、というのは僕の思い過ごしかな。
元町商店街の西ゲートの近くに「兵庫縣里程元標」という道の起点、終点を表す石柱もあるしなぁ。
家に帰って、よう見たら、きんつばを入れてもらった袋の書体が、

ほかのお菓子の名前の書体と同じやね。

上/栗銅鑼(227円(税込)) 下/高砂金鍔 栗(238円(税込)) 右/重ね蒸カステーラあずき
きょう、店先で焼いてるを見てた「きんつば 栗」227円(税込)。栗とつぶ餡、それぞれの風味が味わえるね。
焼きたてのしっとり感の皮とつぶ餡が、王道のおいしさやね。「きんつば」184円(税込)
さつまいも餡の「銀つば」184円(税込)。二人とも初めて食べたけど、癖のないおいしい餡やね。
何でも値上がりして、スーパーやコンビニのお菓子もそんなに割安感がなくなってきたので、きちんとした手仕事の良さが味わえるお菓子があるのはええね。