明石海峡大橋は知恵と工夫の架け橋

神戸猫のPochi(ポチ)とMontblanc(モンブラン)は、約10年の工事で1998年4月に完成した、神戸と淡路島を結ぶ長さ3,911mの明石海峡大橋は、もちろん知っていますし、例えば摩耶山や鍋蓋山へハイキングに出かけた時に山上から見たこともありますが、橋を目的に舞子へ来たのは今回が初めてです。

鍋蓋山から2020年9月21日撮影
伯父さん、乗ったJR元町駅からカメムシが一匹、窓にくっ付いて無賃乗車してるよ。
ほんまやな、ポチ。今年はカメムシが大量発生しているから、カメムシにも色んな奴がおって、中には電車に乗る奴もおるんやろ。
うわっ!舞子駅を降りたら橋は、すぐそこやん。
僕は、橋のことを殆ど知らんから、まずは「橋の科学館」に行ってみよかな。
ほんまやね。僕も知らんから行ってみましょか。
入ってすぐの所に、本州と四国を結ぶ3つのルートの瀬戸大橋、明石海峡大橋、しまなみ海道のジオラマ模型が置いてあるね。
「しまなみ海道」のジオラマは、広島県の尾道市から島々を伝って、愛媛県の今治市まで、橋で繋がっている様子がひと目でわかって、ジオラマ好きの僕は嬉しいな。
ジオラマの上にある明石海峡大橋の模型は、100分の1の縮尺で作られてて、全長は40m。耐風安定性の風洞実験に使われて、実験の結果、風速80mでも安定性がある事が分かってんて。
最近は台風の被害がきついから、暴風への備えも必要やし、ちゃんとしたものを作らんとあかんけど、明石海峡大橋は暴風のことも計画段階から考慮してたんやな。
明石海峡大橋の高さが297mある主塔の基礎は、直径80m、高さ65mの大きなケーソンと呼ばれる型枠を造船所のドックで作って、明石海峡まで十数隻のタグボートで曳航されて来て、海底に設置したんやて。
巨大な「たらい舟」を海の上を引っ張って来たんか、すごいな!
沈めた基礎にコンクリートを流し込んで完成させなあかんから、そのために右側にコンクリートプラント船、左側に資材台船を係留してるんやね。コンクリートは1回で約1万㎥を3昼夜連続で一気に流し込み、間を空けて又3昼夜連続で一気に流し込む事を何回もやって、1年をかけて完成させたんやね。
コンクリートも水の中でもバラバラにならないコンクリートを使ってたんやね。
その基礎の上に立つ明石海峡大橋の主塔の高さは297mあって、これは高さが333mの東京タワーとの比較やね。主塔はブロック毎に作られ、現場で積み上げて接合したんやて。
明石海峡大橋の主塔は、メインケーブルから伝わってくる約10万トンの橋の負荷を受けるんやね。
主塔が完成すると、次はケーブルを架ける工事やね。
そのメインケーブルを神戸側と淡路島側に固定するために、アンカレイジと呼ばれる巨大なコンクリートの塊りを建設したけど、完成した神戸側のアンカレイジの高さは約50mあるんやで。
直径5.23mmのケーブルの素線を127本束ねた六角形のものがケーブルストランドと呼ばれ、そのストランドを神戸側から淡路島側まで1本ずつ290本を架け渡して、アンカレイジに定着させてから、さらに円形に整形して束ねたものがメインケーブルになってるんやね。
メインケーブルの直径は、1,122mm。片側ケーブル1本に使われている素線の本数は36,830本、両側2本のケーブルに使用された全素線の長さは約30万kmで、これは地球7周半に相当するらしいで。そう言ううたら、メインケーブルの実寸模型が「橋の科学館」の入口の前に置いてあったなぁ。

1995年(平成7年)1月17日、明石海峡付近の深さ10~20kmを震源として、マグニチュード7.2の阪神・淡路大震災が発生しました。
この時工事は、主塔にケーブルを掛け渡した直後で、全長3,910m、中央支間1,990mの計画でしたが、この地震で地盤がずれたため全長が1m伸びました。
橋の構造への影響を調べた結果、工事のやり直しをする必要はありませんでしたが、基礎が動いた事によって、主塔と主塔の間の距離が変わったため、橋桁の長さを変更する必要がありましたが、未製作の橋桁のパネルの長さを調整することで対応できました。

「明石海峡大橋ブリッジワールド」本州四国連絡高速道路株式会社 より
橋の科学館へ入って良かったね。色んな困難を、知恵と工夫で何とか解決しながら橋を架けてゆく様子が手に取るように分かって面白かったね。
伯父さん、「舞子海上プロムナード」というて、明石海峡大橋に実際に上がって、そこからの眺望を体験できる遊歩道があるから、行ってみましょか。
舞子海上プロムナードの入口は、橋の真下にあるアンカレイジにあって、ここから見る淡路島まで延びる橋は迫力満点やな。
エレベーターで8階と表示されている所まで上がり、プロムナードに入って大阪の方を見ると、今日は天気がええから、イベントをしてる舞子公園と「移情閣」がきれいに見えるな。
「海上47mの丸木橋」があって、海の上の一本橋を渡るような趣向になってるけど、やっぱり怖いな。足が置かれへん。
伯父さん、無理せんときや。
無理はせえへんし、しよう思ても出来ひんわ。ポチ、下を見てみ。大きな水道管が通ってるで。他にも淡路島への高圧送電線や大容量の通信用ケーブルなんかも通ってるんやで。
おっ、丸木橋のないやつが、又出てきたけど、今度は両足を載せられたで。
大丈夫?怖いことないのん?
うん、2つ目やからちょっと慣れたわ。
これは海面からの高さ約47m、陸地から約150m、海へ突き出したプロムナードの先端から、上がってきたアンカレイジの方を見てる景色やね。
それにしても、車が通れそうな幅の広いもんから、人だけが通れそうな狭いもんまで何本も通路があるねんなぁ。来てみんと分からんもんやね。
そやなぁ。プロムナードの引き返し通路から、東経135度の日本標準時子午線の真上に建ってる明石市立天文科学館が見えるんや。ここは明石に近いねんな。
舞子海上プロムナードから出てきたけど、秋晴れの空で気持ちがええね。
ほんまやな。時間もまだあるし、「移情閣」に寄ってみよか。
八角堂の「移情閣」は3階建てで、1915年(大正4年)に華僑の草分けの呉錦堂が建てた別荘やね。
元々建っていた場所は、明石海峡大橋を架けるために立ち退いて、現在の所に移設されてるんやね。
うん、そうやで。中に入ると、暖炉があって、

急な階段は、北野町の異人館などでよく見かけるけれど、

1階の天井の「龍」や、

2階の天井の「鳳凰」を見ると中国の人の住まいやなぁ、と思ってしまうね。

移情閣を出たら、4時半頃やけど「シーサイドBEERテラス舞子公園with唐揚げフェスタ(終了しています)」のイベントがあるから、一服しよか。
ここから、さっき行ってた舞子海上プロムナードが見えるよ。

舞子公園では10月20日(金)・21日(土)16:00~20:30「サンセットビアガーデン・舞子公園」のイベントが、橋の科学館前広場(明石海峡大橋のメインケーブルの実寸模型が置かれている所)であります。

日が傾いたら冷えてきたから、ヤッケを着とこか。家を出る時、ヤッケを持って行こかどうか迷ったけど、持ってきて良かったなぁ。
今日は明石大橋まで来てよかったな。普段どことなく、ず~っと緊張するような生活してると、開放感のある舞子公園はものすごく楽やね。又、来たいね。