綾傘鉾が初めて京都を出た。正装の棒振り囃子も一緒に神戸へ!

綾傘鉾の棒振り囃子は祇園祭の宵山でも、正装をして棒を振る赤熊(しゃぐま)や太鼓の巡柱(じんちゅう)は見られないのに、まさか神戸ハーバーランドで見られるとは夢にも思っていませんでした。
囃子方の「八代・睦月十四郎@綾傘鉾囃子方」さんのX(旧Twitter)で知った9月4日以来、祇園祭の推し鉾は綾傘鉾、の神戸猫のPochi(ポチ)とMontblanc(モンブラン)は、17日のその日のために体調を整えるぞ、とまるで自分が演者のように張り切っていました。
その驚きようは、8月12日午後4時頃、京都・川端通の松原橋で「ロバのパン」を見た時とは比べ物にならない位でした。

綾傘鉾は、今の山鉾の形態が完成する前の古い「傘鉾」の形態をとる鉾で、応仁の乱以前の15世紀前半の記録にも出てくる600年近くの歴史を持つ鉾やで。
傘の台の四隅には、京都を守っている、東の「蒼龍(青龍)」、西の「白虎」、南の「朱雀」、北の「玄武」の四神が飾られてる、と司会の人が言うてはったで。

東の「蒼龍(青龍)」

西の「白虎」

南の「朱雀」

北の「玄武」

ほんまや。今まで気がつかへんかったわ、傘の「飛天の図」ばっかりに目がいってたな。
伯父さん、伯父さん!来はるで。
分かってるがな。さっきからお囃子が聞こえてたやんか。祇園祭の巡行の時のまんまやで、ごっつい嬉しいなぁ。

とざいとうざい!
これより行いますは棒振り囃子。鉦、笛、太鼓で囃したて、厄を祓いのけるものでございます。

ラジオ関西まつりの増々の盛り上がりと、ご見物の皆様方が心からお楽しみ頂けますよう、七重の膝を八重に折り、隅から隅まで、ず、ず、ずい~っと、乞い願い申し上げ奉ります。

伯父さん、これは、祇園祭の宵山で棒振り囃子の時の口上やで。
ほんまやな、巡行や宵山の口上を見せて貰えて、ほんま嬉しいなぁ。
太鼓から始まるね。
鬼の面が斜め上の空を睨んでるのが怖いな。
巡柱の太鼓の大きく踊り出すと、いよいよ赤熊の棒振りの登場やで。
うわ~、蜘蛛の糸が右と左に出た。宵山の時は1個やったから、大サービスやね。
頭の上で棒が勢いよう、グルグル回って、
踊りのクライマックスがきて、笛の高い音で終演。あっという間やったな。
脇に棒を抱えた赤熊の立ち姿はカッコええね。
巡行スタイルで引き揚げて行きはるで。
ここは岸壁やから、海の照り返しと暑さで大変やったやろね。
ほんまやね。サングラス掛けての棒振り囃子はあかんからな。
今日は3回の演舞があって、2回目は30分後くらいやから、日影に入ってましょか。
ポートタワーは改装中やから古い形の模型は回収されてるんやな。モザイク大観覧車はリニューアルの予定は無いはずやけどな。ポートタワーと同じ所にあったから、巻き添えで移動するんかな。
2回目の赤熊の毛が1回目より長いね。

祇園祭の時は赤熊と巡柱の組み合わせがもう一組いて、二組で巡行してるよね。

実際に見たことはないけど、動画なんかで見たら、そやね。目の前で見ると、着物の裾に模様が入っているのが分かったり、履いてる草鞋や足袋が思いのほか薄いけど大丈夫かな思ったりするね。
司会の人の説明では、疫神は人間を瞬殺する恐ろしい力があるから、太鼓や

棒振りは鬼に扮装して、殺されんようにしてるんやて。

祇園祭は、市中に居てる疫病の神さんを、わざわざ山や鉾に集めて回ろうという祭やから、そら危ないわな。
2回目ももう終わりやね。
赤熊が、進む方へ腕を差し出して引き揚げて行く仕草がええな。

3回目までに3時間以上あるので、二人は一服したり買い物をしたりします。

体の熱さもとれてきたので、ショッピングモール「umie」から神戸新聞社側に出て、ハーバーウォークを通って、再びモザイクの高浜岸壁へと向かいます。

伯父さん、このスロープは以前運行されてた水陸両用船「スプラッシュ神戸」が、海へ入って行くためのものやいうのん知ってた?
うん、知ってたで。2019年9月当時は、ポートタワーの下に「スプラッシュ神戸」の乗場があって、神戸ポートタワーからフラワーロード、北野坂、北野異人館、山手幹線、トアロード、ハーバーランドを約60分でまわってから、
ハーバーランドまで来て、スロープから海に入り、「はねっこ」橋、旧神戸港信号所沖を約20分でまわり、神戸ポートタワーに戻ってきたんやで。
そしたら、「スプラッシュ神戸」が来たら、「はねっこ」という名前の跳ね橋がはね上げられて、その下をくぐって、

ハーバーウォークと並走する狭い水路を抜けて、

信号旗の出ている旧神戸港信号所あたりまで、海の上を進んで行ってたんやね。

これは僕の感想やけどな、船での遊覧距離が短か過ぎやと思うで。今はもう無いけど、子供の時分、親に連れられて乗ってた精霊流しの船でも、防波堤の外へ出てたからな。もうちょっと長い時間、船を楽しんでもらえるようにしてたらなぁ。
今日(9月17日)はハーバーランド高浜岸壁一帯で「ラジオ関西まつり」が開催されてて、特設ステージでコンサートがあったり、
観光や飲食のブースやキッチンカーの出店などがあって賑やかやな。
ここ高浜岸壁からの六甲連山の眺めはええから、おすすめのポイントやね。改装中のポートタワーが中に入ってる縦長のケーキ箱の後ろ左が摩耶山。
ポートタワー側から見た、空気が澄んでいる冬のモザイクの夜景はきれいしね。
3回目。いよいよ最後の演舞か。
宵山でしか棒振り囃子を見たことがないので、真昼間の港で見てるこの景色が不思議やし、

京都から鉾や正装の赤熊や巡柱が出て、しかも神戸に来るなんて、目の前にある事が不思議やなぁ。

伯父さん、蜘蛛の糸はどうする?1回目と2回目に貰ってるから僕は遠慮するけど。
そやな、僕も十分やわ。祇園祭の宵山では蜘蛛の糸は、皆があっという間に手繰り寄せて、スルスルとなくなってしまうやんか。
なんでやろ思てたら、糸の先にある鉛を持って帰ったら幸運が来るとSNSに書いてあるのを見たので、それから僕も糸を手繰りよせるようになったんやけどな。
司会の人の話やと、京都では糸の先にある鉛を3個集めて財布に入れておくと、お金が貯まると言われてるねんて。
なんや、そやったんか。まぁ、どっちにしても拾う人が余りいてなかったから、結構貰ってるで。
これで終わったんやけど、夢見てるみたいやな。
口上にあったように、ほんまに心から楽しませてもろたね。
暑い空を見てたら、綾傘鉾のある四条烏丸付近の暑かった風景が浮かんでくるなぁ。