縁起ものはお正月に頂きます。

伯父さん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
あけましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いします。
お正月やから縁起のええお菓子を頂こか。
この木箱の和菓子「福ハ内」は「桃山」のようなお菓子?
「桃山」に見えるけれど、ちょっとちがうねんな。
白あんを桃山の生地で包んで焼き菓子にしてるんや。
明治37年、鶴屋吉信四代目当主が節分の日に、商家の幼い女の子がお多福のお面をつけて、大きな桝を抱えて豆まきをしている姿がほほえましく、そのほほえましさを、桃山の焼き菓子のお多福豆で表したのがこの「福ハ内」なんや。
へ~、さすが伯父さんは物知り!
だてに年はとってませんね。
まぁな、鶴屋吉信の和菓子を食べてるモンなら常識やけどな。
あれ~、木箱の掛け紙を広げたらその話や、木箱が桝なのは神さんへの供え物の入れたりするので縁起が良かったり、また「益々繁盛」の語呂合わせで縁起が良いから、桝をかたどった話まで掛け紙で紹介されてますよ。
ばれたか。お前は小さい時から何でも手に取って触る子やったからな。
伯父さんの鶴屋吉信常識はさておき、「福ハ内」のお多福豆の絵は山本春挙、文は富岡鉄斎という事も掛け紙に書いてありますね。
和紙を折って作ってる掛け紙の工夫が面白いなぁ。
そや、干支の羊羹「開運うさぎ」もあるから、これも一緒に頂こか。
抹茶で頂くんや、さすが伯父さん。
おだてても、これ以上何も出えへんで。
「福ハ内」は桃山のしっとりとは違い、焼き菓子のさらっと感の口当たりが良くて、ついつい食べ過ぎそうになりますね。
「開運うさぎ」の羊羹は甘すぎない甘さが良いですね。きざんだ栗が入ってますね。
どちらも優しい甘さで僕の好みです。
どっちもまろやかで、お正月に似合う和菓子やろ。
このあと、西宮の「えべっさん」へ初詣に行こか思てるけど、予定が無かったら一緒に行くか?
お多福豆の「福ハ内」のあとに、福の神「えべっさん」は良いですね。行きますよ。
伯父さん、空を見上げてどうしたん?
低い雲が早よう流れて青空が広がったり、すぐに曇ったりして、冬の空やなぁと思ってな。
それより、寒いのに付き合ってくれてありがとうな。
そんなん、気にせんといてください。正月の二日目に家でじっとしてても、しょうがないし。
生田神社にお詣りする人かな、生田筋から高架沿いのサンセット通りにかけて人出がすごいですね。
えべっさんの表大門、通称赤門からは「十日えびす」の時と違ってすんなり入れるなぁ。
「十日えびす」の時は、この門の前の車道を通行止めにして、そこに参拝する人を待機させるくらい人出があるからな。
今日は参拝しやすくて助かりますね。
あっ、あそこに2本立っている門松が、十日えびすの宵宮の九日の夜、えびす様が神馬に乗って市中を巡られる時に、松の葉先があたってはいけないので門松を逆さまにした、と言われている「逆さ門松」ですよね。
よう知ってるな。
説明の立札があったから、ちょうど読んだところだったんですよ。
「逆さ門松」のある拝殿の左右にあるおみくじ所でおみくじを引いた人が、今年の運勢を見てますね。
僕らも今年は「福ハ内」や「福の神」の福づくしですごせるか、くじを引いてみよか。